「AIが小説を書く」「AIが絵を描く」――最近よく聞く話ですよね。でも、AIはどうやって何もないところから新しいものを作り出すのでしょうか?この記事では、話題の「生成AI」について、初心者の方にもわかりやすく解説します。
生成AIって何?
生成AI(Generative AI) とは、文章、画像、音声、動画など、新しいコンテンツを自動で作り出すAI技術のことです。「ジェネレーティブAI」とも呼ばれます。
例えば、「猫の絵を描いて」とお願いすると、AIがゼロから猫の絵を描いてくれる。「企画書の下書きを作って」と頼むと、AIが文章を考えて書いてくれる。こんなことができるのが生成AIです。
従来のAIとどう違う?
今までのAIは、主に**「判断する」「分類する」** ことが得意でした。
- 写真を見て「これは猫だ」と判断する
- メールを見て「これは迷惑メールだ」と分類する
- データを分析して「この商品が売れそうだ」と予測する
一方、生成AIは**「作る」「創造する」** ことが得意です。人間のように新しいものを生み出せる点が、大きな違いなのです。
なぜ今、こんなに注目されているの?
市場規模が爆発的に成長
総務省のデータによると、世界の生成AI市場は驚くべきスピードで成長しています。
- 2023年:205億ドル(約3兆円)
- 2030年:3,561億ドル(約53兆円)
たった7年で約17倍に成長すると予測されているんです。
出典:総務省「令和7年版 情報通信白書」
ChatGPTの登場で誰でも使えるように
2022年11月に登場したChatGPTが、すべてを変えました。それまでAIを使うには専門知識が必要でしたが、ChatGPTは普通の会話でAIを使えるようにしました。
「今日のランチのアイデアを3つ教えて」と話しかけるだけで、AIが答えてくれる。この手軽さが、生成AIを一気に身近な存在にしたのです。
生成AIの仕組み:どうやって文章を作るの?
人間の脳を真似た技術
生成AIはニューラルネットワークという、人間の脳の仕組みを真似た技術で動いています。人間の脳には神経細胞がたくさんあって、それがつながって情報を処理していますよね。AIも同じように、たくさんの「人工神経細胞」をつなげて学習します。

「次の言葉」を予測する天才
ChatGPTなどの生成AIは、実は**「次に来る言葉を予測する」** ことを繰り返しているだけなんです。
例えば、「今日の天気は」と入力されたら、過去に学習した膨大なデータから「晴れです」「曇りです」など、続きそうな言葉を選んで答えます。
この「次を予測する」という単純な作業を、何度も何度も繰り返すことで、自然な文章が完成するのです。まるで人間が書いたような文章に見えますが、実は確率的に「次に来そうな言葉」をつなげているだけなんですね。
生成AIで何ができる?
生成AIは、今いろいろな場面で使われています。
1. 文章を書く
- メールや報告書の下書き
- 商品説明やキャッチコピー
- 長い文章の要約
- 日本語を英語に翻訳
2. 画像を作る
- イラストやロゴのデザイン
- 広告用のビジュアル
- 商品のパッケージデザイン案
3. プログラミングを手伝う
- プログラムコードの自動生成
- エラーの修正方法を提案
- 難しいコードの説明
4. カスタマーサポート
- チャットボットでの自動返信
- よくある質問への回答
- お客様の声の分析
企業の活用事例
実際の企業では、こんな使い方をしています。
伊藤園は、生成AIで作った架空のモデルをテレビCMに起用しました。撮影費用を抑えながら、自由にイメージを作れるメリットがあります。
メルカリは、商品の写真をアップロードするだけで、魅力的な商品説明文をAIが自動で作ってくれる機能を導入しました。
日清食品グループでは、社内向けの生成AIツール「NISSIN AI-chat」を導入し、
営業・マーケティング部門を中心に、コピー案や企画アイデアのたたき台づくりなどに活用しています。
その結果、全社では年間約3万時間以上の作業工数が削減されたと報告されています。
(一部の事例では、従来は数日かかっていた企画・制作プロセスが、数時間程度まで短縮されたケースも紹介されています。)
注意すべきポイント
便利な生成AIですが、使う時に気をつけることもあります。
1. 間違った情報を作ることがある
生成AIは、時々もっともらしい「嘘」を作ってしまいます。大事な情報は、必ず人間が確認することが必要です。
2. 会社の秘密を入れない
生成AIに入力した情報は、外部に漏れる可能性があります。会社の機密情報や個人情報は入力しないようにしましょう。
3. 電力をたくさん使う
大規模な生成AIは、動作させるのに多くの電力を必要とします。
とくに、ChatGPTのような大規模モデルを学習させる段階では、数百〜数千MWh規模の電力が使われると推定されており、一般家庭の多くの世帯が1年間に消費する電力量に相当するとも言われています。
さらに、サーバーを冷却するための空調設備にも追加のエネルギーが必要です。
そのため、企業が生成AIを導入する際には、こうした環境負荷も踏まえ、必要以上に大きなモデルを使わない、省エネ性の高いサービスを選ぶ、再生可能エネルギーで運用されているデータセンターを利用するなどの配慮が重要になります。
これからの生成AI
今後、生成AIはさらに進化していきます。
専門家の予測では、2028年までに、私たちがAIと会話する方法の3分の1は、自分で考えて行動する「AIエージェント」を通じて行われるようになるそうです。「この資料を作っておいて」と頼むと、AIが自動で調べて、まとめて、資料を完成させてくれる時代が来るかもしれません。
また、医療、法律、製造業など、それぞれの専門分野に特化したAIが増えていくと予測されています。
まとめ:AIと一緒に働く時代へ
生成AIは、私たちの仕事や生活を大きく変えようとしています。でも、怖がる必要はありません。AIは人間の代わりではなく、人間の能力を高めてくれるパートナーなのです。
面倒な作業はAIに任せて、人間はもっと創造的な仕事に集中できる。そんな未来が、もうすぐそこまで来ています。
大切なのは、AIの特性を理解して、うまく付き合っていくこと。これからの時代、「AIとどう協力するか」を考えることが、ビジネスでも日常生活でも重要になっていくでしょう。
参考文献
- 総務省(2025)「令和7年版 情報通信白書 第9節 AIの動向」
https://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/whitepaper/ja/r07/html/nd219100.html - Gartner Japan「生成AIとは?仕組みや活用例、利用する上での注意点を紹介」
https://www.gartner.co.jp/ja/topics/generative-ai