1. UGCの定義
UGC(ユーザー生成コンテンツ)とは、企業や広告代理店などではなく、一般ユーザーが自主的に作成・投稿したコンテンツを指します。具体的には写真・動画・レビュー・テキスト投稿など、SNSやレビューサイト、ブログ、掲示板などにおけるユーザー発の情報がこれに当たります。
一方で、CGM(消費者生成メディア)は、そのUGCが集まるプラットフォームを意味する概念です。
2. 背景:なぜUGCが注目されるようになったのか
技術・プラットフォームの進化
スマートフォンの普及やインターネット回線・SNSプラットフォームの発展により、誰でも手軽にコンテンツを作成・発信できるようになりました。これにより、企業主導の発信だけでなく、ユーザー同士の情報共有が活発化しています。
また、SEO(検索エンジン最適化)の観点でも、UGCはサイトの更新頻度や自然な被リンクを増やす手段として有効です。
信頼性・エンゲージメントの変化
アライドアーキテクツが行った「生活者のUGCに対する意識調査」によると、「商品やサービスを購入する際に、生活者のクチコミやレビューを信頼する」と答えたのは、回答者の64.6%と半数を上回る結果となっています。

画像引用:生活者のUGCに対する意識調査(アライドアーキテクツ株式会社)
コスト効率とスケールメリット
プロのクリエイターによる広告用素材を作成し続けるのはコストがかかりますが、UGCを活用することで自然発生的なコンテンツを低コストで得られるという利点があります。
また、ユーザーが投稿した内容を二次利用(広告に転用、ウェブサイトへの掲載など)することで、クリエイティブ制作のコストを下げ、かつリアリティのある表現を得られるという好循環が生まれます。
3. UGCのメリット・リスク
メリット
- 信頼性の向上:他のユーザーの声は説得力があり、「本物感」が高い。
- ブランドロイヤリティの強化:投稿を通じてユーザーがブランドと関わりを持ち、コミュニティ構築が進む。
- SEO/トラフィック:UGCによる頻繁な更新や被リンクは、ウェブサイトの評価を高める。
- コスト削減:広告素材をユーザーに頼ることで、制作コストや時間を抑えられる。
リスク・注意点
- ブランドコントロールの困難さ:ユーザー投稿は必ずしも企業の望む方向に整っているとは限らず、炎上リスクやステルスマーケティングの疑いを招く可能性があります。
- 質のばらつき:UGCは誰でも投稿可能なので、品質が一定でない。
- 偽コンテンツの発生:最近ではAIによって生成された「見せかけのUGC(偽UGC)」も問題視されています。
- 著作権・使用許諾:ユーザーが投稿したコンテンツを企業が利用する際は、使用許諾・権利関係に注意が必要です。
4. UGCの活用事例
InstagramでのUGC創出
ある飲食店やブランドがInstagramでハッシュタグキャンペーンを実施し、来店客や商品利用者に自分の体験を投稿してもらうことで大量のUGCを生成。これを再投稿することで、リアルで信頼性のあるブランドイメージを築いています。
Visumoの事例でもInstagram投稿を収集・活用し、ECサイトへの掲載や広告素材として利用する手法が紹介されています。
ECサイトでのレビュー活用
ECプラットフォームにおける商品レビューは典型的なUGCです。企業はこれらのレビューをウェブサイトに掲載し、購入を検討する新規顧客に信頼できる情報源を提供します。レビューを通じて得られる実際の利用者の声は、広告以上の説得力を持つことがあります。
また、一部企業はレビュー投稿を促すインセンティブ(ポイント、割引など)を提供し、UGC収集を戦略的に行っています。
「商品やサービスを検討する際に「決め手となる情報源」として「家族・友人・知人」が36.1%で最も高く、次いで「インターネット記事やブログ」が29.9%でした。特に15〜29歳の若年層ではSNSを参考にする割合が58.3%と最も高く、企業広告よりも一般ユーザーのリアルな意見を信用する傾向が明らかになっています。
参照元:令和6年版消費者白書|消費者庁
ブランドコミュニティ・アンバサダー戦略
KADOKAWAの事例では、子育て世代のお父さん・お母さんをアンバサダーとして起用し、彼らに絵本の体験をInstagramなどで投稿してもらう手法が紹介されています。これにより、リアルな育児の視点を持ったUGCが発信され、ブランドと顧客のつながりを強化しています。
また、アテニアはUGCを広告バナーやLPに活用し、実際の使用者の姿を広告クリエイティブとして使うことで、コンバージョン率や広告コスト効率を改善したという報告があります。
5. UGC活用のための戦略
UGCを効果的に使うには、以下のようなステップが重要です:
- キャンペーン設計
- 投稿ハッシュタグの設計
- 投稿インセンティブ(例:プレゼント、割引)
- 投稿基準・ブランドガイドラインの明確化
- 投稿ハッシュタグの設計
- UGC収集
- SNS(Instagram、TikTok など)
- ECサイトレビュー
- コミュニティ投稿(フォーラム、ブログ)
- SNS(Instagram、TikTok など)
- キュレーションと承諾
- 投稿内容の選別(質・トーン)
- ユーザーへの使用許可取得(利用規約・著作権)
- 承認プロセスを設定(ブランドが介入するかどうか)
- 投稿内容の選別(質・トーン)
- 再活用/プロモーション
- 広告バナー・LPへの転用
- ウェブサイト(UGCギャラリー)への掲載
- SNSフィードへの再投稿
- 広告バナー・LPへの転用
- 効果測定と改善
- KPI設定(エンゲージメント、コンバージョン、投稿数など)
- 分析(UGC経由の売上、滞在時間、リンククリック等)
- フィードバックループ(ユーザーに対して感謝、投稿促進)
- KPI設定(エンゲージメント、コンバージョン、投稿数など)
6. 自分の考察・展望
UGCは、現代のデジタルマーケティングにおいて、信頼性・費用対効果・エンゲージメントという三本柱を強化できる非常に強力なツールだと考えます。特に、若年層を中心に「他のユーザーのリアルな体験」に価値を見出す傾向が強いため、UGCはブランドと消費者の関係構築において重要な役割を果たします。
一方で、UGCの活用には慎重さも必要です。特に、偽UGCの台頭は信用リスクを高めています。最近の研究では、AIが作ったコンテンツをUGCプラットフォームに投稿し、それがアルゴリズム的に優遇される可能性があることが示唆されており、これによるユーザーとブランドの信頼関係破壊の懸念があります。
このため、私は ブランドとしては透明性を保つUGC運用 が鍵だと思います。具体的には:
- 投稿者に対して使用許可を明確に取り、「実際の顧客の声」であることを明示
- UGC承認や不承認の基準を公開し、ブランドコントロールと誠実性を両立させる
- AI生成UGCとリアルUGCを明確に区別し、不正確な「偽のユーザー体験」を混ぜない
- UGCを単なる広告素材とみなすのではなく、コミュニティ形成の一部として取り組む
さらに、将来的には AIと人間の共創 によるUGCの発展も興味深いと考えています。たとえば、ユーザーが作ったUGCをAIツールで分析・改良し、より見やすく・共感を呼ぶ形式に再構築することで、両者の強みを掛け合わせるアプローチが有効ではないかと思います。
8. 結論
UGC(ユーザー生成コンテンツ)は、現代のデジタルマーケティングにおいて非常に重要な位置を占めています。ユーザーの実体験を通じて信頼を築く手段としてだけでなく、コスト効率やSEO効果、ブランド・コミュニティの強化といった多面的なメリットを持ちます。その一方で、偽UGCのリスクやブランドコントロールの難しさという課題も無視できません。これらを乗り越えて真の価値を引き出すためには、透明性と共創を重視した運用戦略が必要だと私は考えます。
参考文献
SMMLab 編集部(2024)「UGCとは?マーケティングにおける活用手法・事例・注意点を徹底解説!」
令和6年版消費者白書 消費者庁
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